6月13日付けのCNNに下記の記事が掲載された。
‘Gentle’ C-sections are growing in popularity
というタイトルだ。私の目を引いたのは、Gentleという単語だった。
また、先日はハフィントンポストに「 女性たちが母親になる瞬間。24枚の美しい写真とかけがえのない物語」と題して数々の感動的な画像がアップされていたが、その中でも気になったものがトップに引用した画像だ。
帝王切開による分娩は様々な理由でなされる。我が国では、“原則的に”妊婦さんの希望で帝王切開を行うと言うことはないが、国によってはそのようなこともあるらしい。
一般に、帝王切開は安全と思われているが、統計上の数値では、母体の出血、輸血、感染症、死に至る危険性のある羊水塞栓症などの確率は、経腟分娩の2倍以上と報告されている。
可能な限り経腟分娩を達成したいと思うのは、産科医や助産師の願いでもある。
ただし、胎児の状態が逼迫するような場合、分娩がどうしても進まない場合、母体になんらかの危険性が増す場合は帝王切開を選択せざるを得ない。
哀しいことに、「帝王切開で産んだのだから頑張ってない」というような中傷があるということを耳にしたこともあるが、帝王切開は立派な分娩方法であり、すべての母親に拍手を送りたい。
帝王切開を無事終えたときの満足感は、ほっとしている母親の顔をみるとなんとなくうかがい知れるが、私たち医療者もそうである。
しかし、上の画像やCNNのニュースを拝見するに、あ、僕たちが行っていることはまだまだ足りない!と感じた。
帝王切開や他の手術もそうだが、患者の頸のあたりには、離被架(りひか)と呼ばれるカーテンかけられて、術野と顔の間をふさぐようにしている。清潔野と呼ばれる滅菌した手術野との間に仕切りを設けるのだ。
ただ、そうすると母親が我が子を目にするには産まれた直後ではないことが多い。
腹部を切開し、子宮を切開し、胎児を取り出すと、医師は臍帯を切断する。羊水に濡れた胎児は、「キャッチ」をする助産師や看護師あるいは新生児科医に渡され、同じ部屋の児の処置台(インファントウォーマー)で出生直後の観察が行われ、数分後に漸く母親とご対面となる。
経腟分娩であれば、母親は息みながらも下を見れば児が出てくるのもわかるし、一旦お腹の上でだっこした後で処置台に児がうつることもある。
考えようによっては簡単なことだけど思いつかなかったのが、透明のカーテンだ。透明のカーテンさえあれば母親は誕生の瞬間をみることができるし、胸に児をおいたとき、重みと共にカーテン越しにみながら触ることもできる。
“優しい”帝王切開
すぐにとはいかないだろうが、我が国でも広まる可能性があるだろう。
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