ハンズオンセミナーで始まった日本胎児治療学会の3日間が終わった。私にとっては最も大切な想い入れの深い学会の1つである。
今回は埼玉医科大学総合医療センター産科麻酔科の照井教授が会長ということで、胎児治療に関する麻酔が主なトピックスだったが、正直言ってこれほど刺激になったことはなかった。
「胎児治療」を謳った学会がまだ15回ということは、それだけこの領域を我が国が全国的に本格的に取り組み始めてまだまだ歴史が浅いということがわかる。
これまだ胎児治療に取り組んで来た医師は、胎児の病気を体内で治療するという手法や手技の確立とそれを洗練させることに必死だった。
しかし、今やその手技を行うための麻酔法を如何にすべきかということに目を向ける必要が出てきた。
どのような麻酔方法が各種の胎児治療における手技上で有用なのか、母体にとって胎児とって有益なのか、どのような麻酔方法が母体の苦痛や胎児の苦痛を軽減するのに最適なのか、そして、どのような麻酔方法が胎児の短期的あるいは長期的影響の観点で理想的なのか、そして、どのような麻酔や管理法が母児の安全を担保するのか、あらためて学ぶことができて有意義だった。
“胎児の不動化”、“神経毒性”、“monitored anesthesia care (MAC)”という点で多くの議論がなされた。
より洗練させることが結局は母児の未来のためになることをあらためて実感した数日間だった。
さあ、来年は自分が学会長として参加者に如何に有意義な会を提供できるか、正念場だ。
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