子宮頸がんが根絶されるかも知れない
少し大げさなタイトルをつけてしまいましたが、「The Lancet Public Health 」という学術雑誌に、オーストラリアのHall博士らが出した論文が掲載されました。
Open accessなので、どなたでも閲覧できます。
オーストラリアでは、2007年にHPVワクチンを全国的に導入し、女性のみならず男性にも接種するプログラムとなっています。
「なぜ男性に?}
と思われるかも知れませんが、HPV、つまりヒトパピローマウイスルは、子宮頸がんの原因の90%以上となりますので、男女間での感染が問題になることもありますし、尖圭コンジローマという「いぼ」みたいな病気の原因にもなり、コンジローマは男性にも発症します。
同国では2017年から18歳以上の女性に対して2年ごとの細胞診による子宮癌検診をじっししていましたが、HPVに感染しているか、というウイルスのチェックを5年ごとに行うことを導入しているようです。
いずれにしても国内全体でHPVワクチン接種を普及させた結果、現在では子宮頸がんの発症率が10万人に7人、2035年には10万人に4人に低下するという予測で、
「子宮頸がんはもはや稀少疾患になる」
という予想がされているようです。
このことは、BBCでも取り上げられていて、
大きな衝撃となるのではと思っています。
日本では減らない
日本では、HPVワクリンに対する「副反応」ということが取りざたされた結果、ワクチン接種率が極めて低くなっており、WHOも日本の低いワクチン接種率に対して警鐘をならしています。
日本の子宮頸がんの発症率は、10万人あたり10人、つまり、1億人だとすると1万人程度が1年間に発症します。
HPVはウイルスですので、当然ではありますが性行動の変化によって影響を受けます。今後の日本社会のありようによっては、HPVの感染率が上昇して、子宮頸がんはもっと増えるかもしれません。
妊婦さんでも、妊娠初期の健診でおこなう子宮頚がん検診で異常の出る人の割合は増えてきたという印象があります。
はじめてのお子さんを諦めざるをえないどころか、子宮を摘出せざるを得ないこともあります。
予防できるはずだったかも知れない、ということは何とも無念な気がします。
今後、日本が、「世界中で唯一の子宮頸がんが増えている国」というレッテルを貼られないことを祈ります。
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