先日(11月22日から24日)、都内で、第63回日本新生児成育医学会・学術集会が開催された。
学術集会長は、東邦大学医学部新生児学講座・主任教授の與田仁志先生で、いつもお世話になっているNICUの先生達の血と涙の結晶のような学会だった。
周産期医療とは、母体・胎児・新生児に対する医療を中心として、そこに関わる小児外科、小児循環器外科・内科、母体を管理する内科・外科、麻酔科、救命救急など、あらゆる分野をとりまきながら、母児の未来のために尽力する医療だと認識している。
その中でも、産科と新生児科は、特に切っても切れない関係であり、よきパートナーである。
日本新生児成育学会は、以前は、未熟児新生児学会という名称であり、私も二十年前ぐらいまでは積極的に参加していた。その後、産科の学会との日程の重複などの理由で、しばらく遠のいていた学会だったが、やはり参加して思ったのは、小さな命のために日夜奮闘している医師の皆さんの熱き情熱を感じたことだった。
新生児科のバックアップがなければ、産科はなりなたたない。
切迫早産で未熟な子が生まれそうになっているときに母体への治療を行おうとしても、いざ生まれたらどうするということになる。
胎児に病気がみつかっても、いざ生まれたらどうするということになる。
胎児治療をいくらおこなっても、いざ生まれたらどうするということになる。
常にバックアップとして頼もしい存在が支えてくれているからこそ、私(たち)は、母体管理、胎児診断や胎児治療ができるのである。
その理念で設立されたのが、周産期母子医療センターであり、そこで働く意義を改めて学会に参加して感じた。
この学会にはもう一つ特徴がある。
新生児看護学会との同時開催である。
日頃、NICUで小さな子供達に目を離さずに献身的な看護をしてくれている看護師さん達の学会と同時に開催し、しかも相互にそれぞれの参加者が行き来できる。
なんというチームワークだろうか。
チーム医療という言葉が叫ばれて幾久しいが、学会という場を共有している分野はなかなかない。
新生児医療のレベルを規定するのは看護師さんのレベルだ、という言葉があるぐらい、看護師さん達の専門的な看護力が問われると共に頼もしい分野なのである。
産科も見習わなければ!と痛感した。
今回の学会では、與田会長の計らいで、シンポジウムの演者を1回、教育講演を1回、教育セミナーの講演を1回さえていただいた。それぞれ、胎児循環、胎児治療、胎児心機能評価と、重なる内容もあるが、それぞれ私のライフワークの内容を取り上げていただき、なんとか話をすることができたのではと思っている。
とかく産科の学会だけに出ていると、「胎児」という視点にとらわれがちであるが、新生児の視点もとても大事だ。
沢山の先生方とも交流ができ、これからが楽しみになってきた。
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