企業の社会的責任
企業の社会的責任を英語では、Corporate Social Responsibility(CSR)というが、これは一種の企業における事業であるので、ここでの語句の用い方は適切ではないかもしれない。類語でいえば、社会貢献やフィランソロピーという語句もあり、上手く使い分けができないのはご容赦願いたい。
今年は、風疹が大流行となっている。このことについては、先のブログで記述したのでご参照を。
なぜ、ここで、風疹ワクチンに関して、企業への期待をしたいかというと、風疹にかかる患者の大半が、30代から50代の男性だからである。
おじさんは、なぜ風疹にかかりやすい?
わたしも50代なので「おじさん」と書かせてもらうが、多分、おじさん自体が風疹に罹患したとしても、それほど大変なことになることはあまりないだろう。
熱が出て、体がだるくて、家でゴロゴロして、家人から多少の粗大ゴミ扱いをされながら、三日ぐらい寝込んでいれば良くなることが大半だ。
ただ、おじさんからおじさんに風疹は伝染し、爆発的に流行する可能性がある。
実は、30歳代後半から50歳代の男性は、風疹に対する免疫がない割合が高いことがわかっている。
国立感染症研究所のデータを図として引用するが(https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2428-iasr/related-articles/related-articles-457/7914-457r07.html)
女性都比較して、30歳代から50歳代の男性の抗体保有率は低く、5人に一人は免疫がない。
つまり、5人に一人の男性(おじさん)が、風疹の流行によって感染するということである。
満員の電車の一車両に働き盛りのおじさんが150人ぐらいは乗っているとすると、たった一車両だけで30人ぐらいに感染するということになる。
風疹自体は、現時点で57歳以上の人々には、「三日ばしか」として、「普通にかかる」病気だったので、57歳以上の人は、免疫ができている人が大半であり、風疹の流行には関係が無い年代といえる。
その後、予防接種(ワクチン接種)が段階的に導入されたことで、自然感染ではなく、抗体を保有する率、つまり、免疫を持つ人が増えていくことになりました。
このこと自体は望ましいことで、人から人へ伝染した結果、免疫がつくのよりは、病気を発症せずに免疫がつくことが理想的です。
57歳以上の人の大半は、この自然感染で免疫があります。
その後、現時点で39歳から56歳の女性のみに、中学生の時に風疹ワクチンの集団接種が開始されました。
私も記憶があるのですが、なぜだか女子だけが予防接種があるといわれて教室から出て行ってました。男子は外で保健体育の時間で、勝手に体育をしてなさい、と言われたと既往区しています。
まだ多感な時期でしたし、「どうして女子だけが」という疑問がありましたが、「将来妊娠するから」という言葉を聞いて、顔を赤らめた覚えがあります。
だから、わたしも成人になるまで風疹ワクチンの接種歴はありませんでした。医師になって、抗体価を測定したところ低い(ない)ことが判り、これまで風疹にかかったことがないことも明らかなとなり、ワクチン接種を受けました。
おじさんの風疹のなにが悪い!?
今現在の日本の抗体保有率の状況を考えると、おじさんが風疹ウイルスをまき散らす、マラリアでいうところの媒介者となっているということです。
そして、おじさんからおじさんならまだましですが、おじさんから妊娠初期の妊婦さんに感染が起きると、大変なことが起きる可能性があります。
先天性風疹症候群
です。
おじさんの多くは、すでに子供を持っている人も多く、あまり意識はしないかもしれませんが、もし自分のこどもや身内の妊婦さんが、妊娠初期に風疹にかかったときいたらどのように感じるでしょうか?
企業だからこそできる風疹予防対策
あくまでも私見ですが、やはり、「おじさん」をターゲットにした風疹ワクチンの接種を行わないと、風疹の流行は防ぐことができません。
じゃあ、おじさんに、
「病院へ行って、風疹の免疫があるか調べてきて」
「免疫がないなら、ワクチンを打ってきて」
と言えば、みんな「はい」というでしょうか。
おじさんのほとんどは、働いています。朝早く電車に乗り、昼間は会社で奮闘し、疲れた体に鞭を打って夜遅くに家に帰ります。
正直いって、風疹の抗体価を測定することも、ワクチンを打つこともできません。
でも、企業で会社で、そのような取り組みをしたらどうでしょうか?
昼間のおじさん捕獲率は、企業であれば100%に近いはず(社外営業や出張は別ですが)。
先天性風疹症候群になって大変な想いをする子供達や親御さん、不要な人工妊娠中絶を防ぐために、今こそ、おじさんと企業が立ち上がって欲しい!
そう願っています。
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