桜の季節に多様性を考えてみた

教授室の窓から

春になると東邦大学医学部・東邦大学医療センター大森病院の周りは桜の花に包まれます。
今年も3月中旬から、東邦医大通りに植えられた陽光桜がピンク色の花を咲かせ、そして3月下旬には東邦大学医学部正門のソメイヨシノ(染井吉野)が陽光桜とは違った淡い色合いの花を咲かせています。

医学部正門のソメイヨシノ(2022.3.28)

桜の種類

私は植物学者ではないので、ネット調べた知識の受け売りですが、変種を合わせると日本には100種以上の桜が自生しているらしいです。
また、そこから園芸種として改良されたものが200種以上もあるということで、さすがに専門家じゃないとわかりませんよね(^_^;

ソメイヨシノ(染井吉野)とクローン

毎年、この季節になると開花予報とか開花前線といった語句が天気予報に出てきます。
これはソメイヨシノがいつ開花するかということに基づいているんですが、なんと日本のソメイヨシノはすべてクローンです!
クローンというと産婦人科医としては生殖補助医療の関係で少し興味が沸くのですが、旧染井村(東京都豊島区駒込のあたり)の職人が江戸時代に改良して売り出したことが発端だそうです。
クローンとは遺伝的に全く同じ情報を持った個体を指し、ドリーという羊が有名になりました。SFの世界ではクロン人間が時々出てきますが、勿論、人を対象にした研究は禁止されています。
日本では、「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」で2000年に禁じられています。法律の詳しい内容はこちらを参考にしてください→https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000146

ソメイヨシノは接ぎ木によって日本全国に広まりました。ですので、人と違って「遺伝的に同じ」状態、つまりクローンになります。ですので、気温、湿度などの気象条件が同じであれば同じ時期に開花します。
と書いてあるのですが、遺伝的に同じなら本当に同じ行動をとるのか、と一卵性双生児(一卵性双胎児)のことを考えると、人間は植物と違って複雑なので宗は言えないな、なんて思ってしまいます。

話が脱線しましたが、クローン桜のソメイヨシノのお陰で、私たちは満開を予想してお花見に行けるのですね。

陽光桜(ヨウコウザクラ)

私が東邦大学に赴任したのは2015年でした。3月の下旬に引越をし、新しい職場はどんなところだろうとぶらぶらと散策をしていたときに印象的だったのが、東邦医大通りの陽光桜です。
なんとう桜だろう、と思いながらも調べてみたのは恥ずかしながら今年です。

天城吉野(アマギヨシノ)と寒緋桜(カンヒザクラ)との交配により生まれた、寒い地域でも暑い地域でも栽培可能な品種だそうです。
ソメイヨシノよりも少し早く満開になりますので、卒業する学生さんにとっては旅立ちを祝福しているようにかんじるではないでしょうか。

春は旅立ちの季節であり、そして新たな出会いの季節です。その季節感をいつも心に抱かせてくれるのは、桜のお陰かなと思ってます。

東邦医大通りの陽光桜(2022.3.26)

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