オーストリアのウィーンで開催されたISUOGに参加してきた。International Society of Ultrasound in Obstetrics and Gynecology(和訳は国際産婦人科超音波医学会になるかな)という学会で、超音波診断のみならず幅広く画像診断を取り上げ、最近は遺伝子診断などの出生前診断も演題や講演も増えている。
私がこの学会に出会ったのは、もう20年以上前に京都で開催されたときだが、本腰を入れたのは、胎児鏡による胎児治療を行い始めた2004年からだ。
米国時代のボスのQuintero先生はあまりこの学会が好みではないのか、出会うことは少ないが、ヨーロッパで広く胎児治療を進めているグループが参加する学会で実りは多い。
今年は東邦大学の仲間と参加し、3名それぞれが短くはあるが口頭発表を行い、それなりの成果と課題を持ち帰ったと思う。正直なところ、とても頼もしくて嬉しかった。
他にも日本人の知人の参加者も多く、皆頑張っているな、という印象が強い。
しかし、いつも学会に参加して思うのは、日本の医療や医学はガラパゴス化していると感じることである。
学会に参加はするが、国際学会の主要メンバーとして加わっている人は少ない。国際学会を日本で開催するときに、いわゆるPresidentになれる人はいるが、あくまで日本開催を期待されてのことであり、学術的に何かの委員になっている人は少ない。
これは自戒を込めてのコメントである。
学会はどんな学会でも多かれ少なかれ、仲間意識が強い。しかし、この学会は、学会の機関雑誌に論文をある程度投稿誌続けることがなければ、メンバーには入れないし、メンバーも外される。
一方、日本の医学会の多くは、大学や組織として「票」を持つことによって、評議員になり、そして幹事や理事になる。
ある程度の安定性から言えば後者は大切だが、前者の思想もなければ発展はないだろう。
最近は、奨励賞と称して、言葉は悪いが、無理矢理に発表演題に賞を与える傾向がある。しかし、学会で発表しても、学術雑誌に掲載できなければ意味がないし、日本語で掲載しても日本語がわかる人しか読まない。
日本の学会は日本語で十分に討論するのが大切だ。しかし、討論とは別に学術的な成果は、国際的に認知されるような努力も必要である。
国際学会からの帰国の途につくと、いつも思うことである。
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