海外留学での大失敗
米国フロリダ州に海外留学したのはもう19年前になる。思えば、大失敗以外のなにものでもなかった
「何を言っているのか、わからない」
「どう伝えていいのか、わからない」
路頭に迷い、家族を不安にさせた日々がそれでも今では懐かしい。
いまだに劣等感
日本に帰国し、時々国際学会で発表するが、いまだに英語には劣等感がある。上手く聞き取れないことも多い
それでも留学した当時よりは多少は英語耳はできていると感じる
以前は、CD-ROMやDVDを音声や動画教材としたものを入手するか、英会話スクール(駅前留学という言葉が流行っていた)に通うしかなかったが、様々なコンテンツがあふれている
その上で、医学研究のための海外留学や国際学会での発表のために少しでも苦労しないための学習法を考えてみた
医学研究の留学は別物
ビジネスのために海外赴任する場合と異なり、医学研究での海外留学の場合、研究自体のために要求される英語力はそれ程必要ない。医学分野の英語論文に慣れ親しんでいれば、ある程度、会話の内容はわかるし、また討論もできる。
ただし、これが落とし穴で、そのために「研究はしたんだけど日常の会話で踏み込んだ話はできない」という留学経験者は多い。「深い討論ができない」という経験者も多い。研究しデータを出し、そのことだけを議論するのであれば論文上の文章とそんなに変わりがないからだ
そのため、医師の海外留学経験者は、帰国後も私も含め通常の英会話に苦慮する人は多い
もちろん、レストランでの注文、日用品の買い物などには余り苦労しなくなるが、それは初歩の初歩の英語で済むからだ
国際学会の発表は難しい
海外留学経験があるからといって国際学会での発表や討論はすんなりできるかといえば違う 発表の場では 様々な国の人から色んな訛りの英語で質問が来る しかも、国際学会は「みんな英語ができるはずだよね」の環境が前提である
海外留学の場合、病院にしろ研究室にしろ、「おまえは英語が下手だもんな」という前提で接してくれる
そのため,そういう忖度をしてくれない国際学会はかなり怖い!
ともかくリスニング、そしてディクテーション
医者の多くは英語が読める.厳密に言えば,医学英語が読める.最新の医療情報はPubmedなどのネット検索で得ることができるし,最新の知識をつめこんだ教科書も英語である.そのため,医学に関する英文はかなり読める.しかし、話すことも聴くことも苦手な人が多い.僕もそうだ.
留学先で日本人医師がよくいわれるのが,
「どうしてそんなに難しい論文は読めるのに話せないんだ」
おまけに、私なんかは特にそうだったが、プライドが高いから「易しい英語は不要」と高をくくってしまっている.
なので,まじめに英会話の勉強をしない人が多い.
しかし、ここは謙虚に、簡単なゆっくりとした英語からリスニングとディクテーションを行うことをすすめる。
ポッドキャスト・アプリ・ウェブサイト
私が留学した時代にはなかったが(あったけど知らなかった?)、様々なポッドキャストとアプリを利用するのがお勧めである。以下に今でも自分が利用しているものをリストとしてあげる
VOA learning English
Voice of America の英語学習者用サイトで様々な番組とポッドキャストを提供している。
初歩、中級、上級とレベル分けしてくれているが、「わざとゆっくり話している」ので、慣れると上級コースでもリスニングは容易である。そのためポッドキャストの評価では「ゆっくりすぎて役に立たない」というコメントも多い.
確かにある程度以上のリスニング力を鍛えるには物足りない.しかし,ディクテーションとしてはゆっくり話してくれているのでとても役に立つ。いろんな番組をポッドキャストとして購読できる。
ニュースを聞いていればアメリカの事情やアメリカからみた国際情勢がわかる。日本のメディアで下降された情報とは違う考え方が得られる.
慣れれば、VOA learning Englishよりは少し早く話してくれるアメリカ人向けのVOAそのものをを視聴するとより耳が鍛えられるだろう。
BBC Learning English
英国のBBCの英語学習者用サイトで様々な番組とポッドキャストを提供している。
こちらもレベル分けしてくれているので、能力に応じて進歩できる。様々なポッドキャストがあるが、6 minutes Englishなどは会話を文字に起こしたもの(Trascript)がサイトに載っているで、ディクテーションをして実際に書き取って確認することができる。
VOAと違って、英語学習者向けに「わざとゆっくりはなしている」訳ではない。
BBC Podcast
普通にBBCが提供しているPodcastだが、驚くほど沢山ある。
音楽やスポーツのPodcastも充実している。UK音楽シーン、サッカーやラグビーなどの番組を沢山ある。
NHK World-JAPAN
言わずもがな、我が日本が誇るNHKの国際放送サイト。
日本や世界のニュースを英語で発信しているが、日本人の耳に慣れた英語なのでわかりやすい。ウェブサイトではライブ配信とオンデマンドがあり、海外にいても動画で日本のニュースが見られるのは助かる。日本語放送のNHKの番組から一部を英語放送として取り上げてくれているので親しみやすい。
アプリは、主に日本のニュースを1-2分の動画で配信してくれているし、その内容をダイジェストで英文で紹介しているので、動画の内容が把握しにくいときはスクリプトを参考にできる。
ポッドキャストは、定期的にニュースを配信しているが、アプリのNewsの欄の下にあるAudioと同じ内容である。
NPR
米国のNational Public Radioのサイトで、ポッドキャストでも様々な番組を提供している。
アメリカ人は元来ラジオ好きで、今でも多くの人がラジオを聴いている。そのため、ラジオ局も多く、ラジオ番組の充実度は日本とは比べものにならない。なのでNPRのサイトをみてもニュース、スポーツ、音楽など様々な番組とポッドキャストがある。
当然ではあるが、アメリカ人のネイティブが視聴しているラジオ番組なので、スピードは英語学習者としては速いが、公共放送のラジオ番組なので訛りはない(はず)。
コンテンツの多さをみれば、英会話教材をお金を出して購入するなら、この膨大な量のNPRのポッドキャストはとても役立つと思う。
様々な番組があるが、新着でないポッドキャストの場合、ウェブサイトにトランスクリプトが載っているので、聞きながら文章を目で追う、というトレーニングもできる。
個人的には、数多くのNPRのPodcastの中でもAll Songs Consideredなどは、音楽のラジオ番組としてDJの会話もあるので、ランニングの時の聞き流しによい。
StudyNow
上で紹介したメディア系が出しているアプリ以外に,初級から中級者に向いていると思うのはStudyNow.
日本人のために開発された英語学習アプリで,英文と日本文が掲載されていること,単語の解説があることが便利.上級者には物足りないだろうが,短い英文をディクテーションするつもりなら便利.
TuneIn
世界中の10万局以上のラジオを聞くことができる.PCだと以下のサイトにアクセスすればすぐに聞くことができる.
スマホのアプリには無料版と有料版があり,無料で続けたい人にはダウンロードの際にちょっとした注意が必要.
アメリカ,カナダ,イギリス,オーストラリアなどの英語圏のFM, AMがあるので,様々なアクセントの英語の聞き流しができる.
日本のFMもかなりの数がカバーされているので,ふるさとのFM,外国にいるときに日本語が恋しいときにも役立つ.
国際学会のオンデマンド配信
自分の専門分野の国際学会のオンデマンド配信は、泉温的な英語力を向上させるのに役立つ。
私の場合、周産期医療のトップランナーが集まっているInternational Society of Ultrasound in Obstetrics and Gynecology のオンデマンド配信は、知識の吸収のためにもとても便利だ。
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